【はじめに】
アラフォー無名、資格も取り得なしでも起業して成功出来る。
サラリーマン浜離宮二郎の『(後悔しない)おとなの起業』。
< 登場人物 >
・浜離宮(はまりきゅう)二郎(主人公)
地味な仕事しかやって来なかったと自負する、
リサーチ会社に勤める37才、独身のサラリーマン。
・日本の酒バー“インディペ”のオーナー 川守裕充。
秘密の過去を持つ。
・小料理「停まり場」のママ「夏奈(なつな)」。
二郎を何故か応援している。飲食界に恐ろしいほどの人脈を持つ不思議女子。
< 以下、夏奈おすすめのおいしい店 >
飲食A:バー昴(すばる)
飲食B:レタスしゃぶしゃぶ吟。
飲食C:リサバー。
飲食D:西新宿御厨(みくりや)。
飲食E:貝料理はまぐり。
飲食F:大分郷土料理とど。
飲食G:
【 二郎の日常 】
リサーチ会社で集計・解析をするだけの日々。自分では何の取柄もないと思い込んでいて、独立起業する先輩をただただ羨ましく見ている。
リサーチの報告会ではクライアントの覚えも良く、思い付きで話す戦略や戦術アイディアが経営者に評価されることも多いが、それを取り柄とは思っていない。
分析レポートやそのまとめなど文章を書くことは大好き。
クライアントからの評判も良い。
クライアントの社長や幹部からは呑みの席に誘われることも多く、リサーチ以外のアドバイスを求められることも多いが、何故そうなのか?を深く考えたりはしていない。
2020年初頭。新型コロナウイルスが日本を、いや、世界を襲った。
明日への不安から、会社にしがみつこうとする者、転職を考える者、会社を見放す者、副業に精を出す者、人生をあきらめる者、色々な動きが世の中を巡った。
そんな中、ひとりの平凡なサラリーマンが、最悪な環境の中、ひょんなきっかけから起業を思い立つ。
彼の名前は浜離宮(はまりきゅう)二郎。
由緒正しい名前に見えるが、実はそんなことはなく、ごくごく平凡・凡庸な中年男である。
この物語は、インターネットも不得手で、開業資金も乏しく、これと言った取り 柄や資格もない、無名のアラフォー男が、コロナの渦中と言う最悪の時期に起業を決意し、沢山の人達の力を借りながら押しも押されもしない起業家として“後悔 しない第二の人生”をスタートさせた「第二の人生獲得の物語」である。
【第一章】津波のように押し寄せる不安。(希望0%)
西新宿の路地裏に、どんな人でも起業成功させてしまう不思議なバーがあった。
停まり場のカウンタで飲んだくれている二郎。愚痴をこぼす。
このまま今の会社にいても先は見えてるしな〜。
かと言って転職しようにも、何の取柄も資格もないし。
リサーチなんて部署、どこの会社にもあるし地味だし。
起業した先輩もいるけどそんな才能も勇気もないし・・・ 。
ただただ飼い殺されて終わるのかな〜。
夏奈ちゃん、俺、どうしたらいいんだろうね?
そんな事無いと思いますよ~。二郎さんだって起業できますよ~
そう声をかけてきたのはこの店のママ夏奈(なつな)。
もし良かったらもう一軒行きません。
今日はもう店閉めちゃいますから一緒に呑みましょ!
そうして夏奈に連れられてきたのが、西新宿“日の出商店街”にある、
“日本の酒(さけ)バー” インディペ。
< 重厚なインディペの店内 >
重厚そうなインテリアとズラリと置かれた酒が本格を思わせる。
マスター川守は寡黙で多くを語らないが、夏奈とは何か深いつながりがありそう。
バーにしか見えないのに、マスターの川守は圧倒的に日本酒の造詣が深い。
夏奈とは、とある日本酒の蔵元での、蔵元見学で出会ったらしい。
毎日、日替わりで「選りすぐりの日本の酒」を出している。
本日のおすすめは宮城の銘酒「浦霞(うらかすみ)」。
夏奈に紹介され、酔った勢いもあり、マスター川守に思いの丈を語る二郎。
特にクライアントであり憧れの存在である、
飲食店チェーンを率いる高木社長みたいになりたいと熱く語るが、
とても自分には無理!と決めつける。
二郎は高木社長の凄さを語るばかりで、自分の事は何も語らない。
言わないことは聞こえない。
いつも言ってるだろ!と言う事の意味は、「時々言うことがある!」であり、書いてあるだろ!の意味は、「言外に 読み取ってくださいよ!」です。それでは言ったことにはならないし、伝わる筈もありません。
言わないことは聞こえないんです。
闇夜のカラスと言う言葉があります。
真っ暗闇でいくらカーカーと鳴いても、どこにいるかは分からない。
ちゃんと居場所を示すことが大事です。
「うまい料理を出しておけば、客は来る!」
と、看板も出さない店が潰れるように、
「特殊な技術を持っているから、宣伝なんてしなくても患者は来る!」 とうそぶいている整体師の院が消えていくように・・・
まずはちゃんと伝える事。
言ったつもり!は何も言っていないのと同じなんですよ。
半信半疑で店を出る二郎、優しく見守る夏奈。
自分の強みは、自分で考えても見つからない!
夏奈です。マスターは早速、二郎さんの強みを見つけちゃったようですね。
ここでとても大事なことをお話ししますね。
実は、明らかな強みを持っているにも関わらず、それにまったく気づいていない人と言うのがほとんどです。
言い換えれば、自分の強みにちゃんと気づける人が稀(まれ)ってことですね。
これを私は「自分の強み、自分だけが気づけない法則」と呼んでいますが、本当に「自分だけが気づけない」んです。
逆に言えば、他人の方が自分の事は良く見えるし気づきやすい。
コーチングなどで、聞き役のコーチがクライアントの強みを次々に見つけたりするのもこの法則のお陰です。
特に二郎さんはずっと同じ仕事をやってきています。
本人にとっては変化のない、凡庸な日々かもしれません。
ですが、クライアントにとっては会うたびに新しい発見、示唆をくれる存在。
彼ともっと話したい、彼の意見をもっともっと聞きたい。
そう感じているんです。
クライアントは、二郎さんが生み出す新しい情報に高い価値を見出しているんですね。
高木社長からの評価が高いのも、二郎さんのそんな「発見力」。
つまり「自分たちが見つけられていない大事なテーマ」に気づき、教えてくれる能力を持っているからこそなんです。
自分の強みが分からない!何が売り物か?まったく見えない!
そんな場合は、誰かと言葉のキャッチボールをしてみるのはとても効果的です。
思わぬ発見、思わぬ価値の掘り起こしが出来ると思いますよ。
仕事は自分だけでやってはいけない!
川守です。
私が何者か?は置いておいて(おいおい明らかになります)起業に際して、とても大きな勘違いをしている人が多いんです。
例えば私自身、数年前に「日本の酒バー」を開いたんですが、ずっと他人のチ カラで商売をやって来ました。
もちろん、カクテルを作ったり、料理を作ったりと言う行為は自分でやっていますよ。
ですが、メインの商品であるお酒も食材もすべて他の誰かが作ってくれたものです。
私はその「他人の作品」を仕入れて、私なりのやり方で販売しているだけ。
つまり、大雑把に言えば「仕入れて売っているだけ」なんですよ。
ですが、二郎さんもそうなんですが、どうも起業と言うと「全部、自分でやらなければいけない!」と思い込んでいる人がとても多いんです。
言うならば私が、お酒を自分で作り、魚を育て、家畜を育て、野菜を育てているようなもの。
それでは逆に商売は成立しません。
誰かが作ってくれたものを仕入れて売る!と言うのは決して悪い事でも間違った事でもなくて、ビジネスの基本です。
それに気づけば起業なんて、無限に可能性があると言う事に気づきます。
仕入れたものに、自分なりのカスタマイズをほどこす。
ただし、ポイントがあります。
それはカスタマイズです。
他人が創ったものを単に仕入れて売るだけではただのブローカーです。
そこに自分らしさはありません。
自分なりの工夫を加えて、お客さんにとっての魅力を付加して販売する。
だからこそ、高く売れたりファンが生まれたりします。
それが出来なければ果てしない値下げ合戦に巻き込まれ、いずれは死に至ります。
値下げ合戦とは「緩やかな自殺」なんです。
決してやってはいけません。
それからもうひとつ。
誰が売っているのか?と言うのも大事です。
仮に同じような商品でも、売る人によって価値が変わってきます。
「あの人がよいと言っているのなら間違いないだろう!」
「あの人は今一つ信用できないから買わないで置こう!」
そうした判断をお客さんはするのです。
いわば売る人の「価値観」とか「こだわり」、人柄や信念などの総体です。
売る人そのもので差別化する。それがブランド。
この総体のことをブランドと言います。
ブランドは単なるデザインとかコピーの良し悪しではなく、売る人そのもの。
何故それを扱うのか?と言う根っこの部分です。
周囲を見てください。
成功している会社や店には必ずその「根っ子」があるはずです。
② 仕入れたものに、自分なりのカスタマイズをほどこす。
③ 売る人そのもので差別化する。それがブランド。
【第二章】二郎、自分の強みと出会う。武器は見えないところに。(30%の希望)
一週間ぶりのインディペ。
マスター川守は「酒一筋」の純米大吟醸を出しながら「二郎さん、SWOT分析って知ってますか?」と唐突に訪ねてくる。
〈夏奈による酒一筋の紹介〉
二郎さん、SWOT分析って知ってますか?
マーケティングでクライアントに対してやったことはありますけど・・・
と自信無げな二郎。
二郎さんから伺ったお話をベースに、二郎さんのSWOT分析を勝手にやってみました。
と川守。
「SWOT分析」とは?
SWOT分析とは、競合や法律、市場トレンドなどの外部環境と、自社の資産、ブランド力、あるいは価格や品質といった内部環境をプラス面、マイナス面にわけて分析する手法。
戦略策定、マーケティング面での意思決定、経営資源の最適化などのためのフレームワークのひとつ。
・「内部環境」→『Strength(強み)』『Weakness(弱み)』
・「外部環境」→『Opportunity(機会)』『Threat(脅威)』
というカテゴリーに分けます。
二郎さんの事はまだ詳しくは知りません。ですが、先日話していらしたことをベースにして、勝手にSWOT分析をやってみたんです。
そうしたらとても面白い事が見えて来たんですよ。
川守は続ける。
私が二郎さんのSWOT分析を勝手にやってみて注目したのは、
■まとめがうまい。
■説明が分かりやすく上手い。
■文章が分かりやすくうまい。
■クライアントの中枢と会える。
■クライアントの中枢に可愛がられる。
と言う部分です。
これをまとめてみると二郎さんの強みは、『経営者クラスの人脈を沢山持ち、経営者に可愛がられるまとめ上手説明上手』だという事。
これ・・・なんだかピンと来ませんか?
誰かに似てませんか?
「人を動かす!」を書いたデールカーネギーです。
「え?デールカーネギー?」「人を動かす?」
聞いたことはあるけど、読んだことはないです。
なんだかすごい人なのは知ってますけど、どうしてここでカーネギーが出てくるんですか?
あらゆる自己啓発書の原点となったデール・カーネギー不朽の名著。人が生きていく上で身につけるべき人間関係の原則を、長年にわたり丹念に集めた実話と、実践で磨き上げた 事例を交え説得力豊かに説き起こす。深い人間洞察とヒューマニズムを根底に据え、人に好かれて人の心を突き動かすための行動と自己変革を促す感動の書。1936年の初版刊行以来、改訂が施されてきた現行の公式版である『新装版人を動かす』から本編30章を収載した。
デールカーネギー。
1888年、米国ミズーリ州の農家に生まれ、大学卒業後、雑誌記者、俳優、セールスパーソンなど雑多な職業を経て、弁論術や成人教育の講師となり、人間関係の先覚者として名をなす。不朽の名著『人を動かす』『道は開ける』など多数の著作がある。
つまり、まとめ上手、説明上手を活かして、二郎さんの人脈にある経営者の言葉、思 考を求めている人に届ける仕事です。
21世紀のカーネギーを目指すのです。
え?そんなことが出来るの?
二郎は二の句が継げない。
もちろん出来ますよ。
二郎さんは気づいてないでしょうけど、このカーネギー的な資質は二郎さんのものすごい武器です。
それを生かすのです。
そして世の中の役に立てるのです。
二郎さんの高木社長に対する思いとあこがれはそのまま若い起業家・経営者が知りたいことです。
が、表に出ない経営者や本を出してない人はそれを届けることが出来ない。
あなたはその橋渡しができる存在なんです。
今まで地味にやってきた事、人脈がそのまま資産になるし、30も半ばを超えているからこそ経験もある。
無名の小さな会社にいるからこそ、小さな会社の悩みも分かる。
まさに「弱みが強みに変わる」うってつけの存在なんです。
でも、僕はネットも苦手でパソコンよりもアナログ派なんですけど・・・。
ネットは環境が変わるとそれに対応しなくてはいけないし、いたちごっこになりがちです。
何より経営者クラスの方達はネットが得意ではない。
そこは安心してください。
それからもうひとつ。
ペリフェラルと言う考え方があります。
ペリフェラルとは、「お隣」とか「境界線」と言う意味の言葉ですが、 要は『自分がやっ たことのある、何らかの経験のある事を伸ばし、商品にする』と言う事。
儲かりそうだからと経験のない分野に踏み込んで大失敗した例は数えきれません。
それはやっちゃダメです。
そんな事が出来るのなら、やってみたい気もするけど。
やりがいもありそうだし・・・。
① ペリフェラルとは「お隣さん」とか「周辺」という意味。
過去に何らかの経験がある仕事の延長で起業テーマを見つけるのが最も安全で、最短時間でマネタイズ(収益化する)する秘訣です。
ペリフェラルとは、そもそもコンピュータと組み合わせて利用される各種の機器のことです。
ディスプレイ、プリンター、ハードディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、フラッシュメモリ、デジタル カメラなどが代表的な周辺機器ですね。
が、ここで言うペリフェラルとは畑村洋太郎先生の提唱する「失敗学」の中で言われる概念で、「接点」とか「周辺」のような意味の言葉。
「ビジネスで培った経験知を生かして、関連のある領域にビジネスの場を求めること」というような意味で使っています。
そのいい例が古河鉱業(現古河機械金属)です。
石炭を扱う古河鉱業から始まって、次には非鉄金属や電線を扱う古河電工が、次はドイツのジーメンス社と一緒になってフ・ジ電機、すなわち富士電機が生まれ、さらにそこから情報通信の富士通が生まれ、数値制御装置のファナックが生まれました。
いずれも、本体の技術を元にしつつ新たな技術分野に進出していくことで成功しています。
② 別の例としてユニクロの例が有名です。
ユニクロと言えば、お手頃な価格で衣料品を大衆へ販売する企業というイメージ。
それが、高品質で高価格帯の野菜を売ろうとしたのです。
まさに強みやイメージとは真逆の方向へ進んで失敗したのです。
もちろん、やってみないと成功するかどうかわからないものですが、その後、ユニクロはGU(ジーユー)という低価格帯のファッションブランドを立ち上げ、大成功しました。
ユニクロに限らず、なぜか「これまで積み上げてきたモノ」を無視して新しい事 業や商品を立ち上げ、見事に失敗する例が多々あります。
もちろん例外はありますが、基本、ペリフェラルな方向に進むべきでしょう。
頭をハンマーで殴られた気がした二郎は自失のまま店を出た。
停まり場のカウンターで日本酒を飲む二郎。
目の前には夏奈がいる。
へ〜、良かったですね〜。
気づいてもいなかった強みが見つかって。
そう、まだ正直、半信半疑だけど独立してみようかな?と言う気持ちが30%くらいは湧いて来たよ。
まだまだじっくり考えてみないといけないけどね。
それにしてもあのマスター、すごいよね。
僕の中の漠然としていたモノを見事に形にしてくれた。
あんな風に、単なる考え方だけじゃなくて、形にして見せてくれたらものすごく分かりやすいよ。
やっぱり人って「具体的な形」にして見せてもらわないとピンと来ないものなんだろうね。
多くの場合、人はカタチにして見せてもらうまで、自分は何が欲しいのか分からないものだ。
これはかのスティーブジョブズ氏の言葉です。
ジョブズ氏は、たくさんの商品やサービスを生み出し、その多くが世の中に大きな影響を与えました。
彼が見せてくれたのが、徹底した“ユーザー目線”。
お客さんは、“かつて見たことがないモノ”を目の当たりにし、異口同音に、「自分が欲しかったのは、これだ!」と気づいたのです。
ジョブズ氏のすごさは、“お客さんが欲しいと言うモノ”ではなく、“欲しかったモノ” を代わりに考える、生み出すチカラ。
それを徹底したからこそ、お客さんは喜び、まさにジョブス教とも言える、強烈なファンを創り出していったのだと思うんです。
お客さん=クライアント。クライアントの代わりに必死で考える。
それがすべてです。
さて、では二郎さんの門出のきっかけに祝杯を上げましょう。
今日は店じまいするから一緒に呑みましょ!
夏奈が言い、向かった先は夏奈の行きつけのオーセンティックバー昴(すばる)。
ピザパイ、カニ味噌バターなどに舌鼓を打ちながら、国産ウイスキー角、オールドを楽しむ二人。
【第三章】二郎、脱常識を学ぶ。黄金のマインドセット。(50%の希望)
一週間後、インディペのカウンターに二郎の姿があった。
手にするお猪口にはマスターお薦めの陸奥八仙が注がれている。
〈夏奈による陸奥八仙の紹介〉
起業するにしても資金が必要でしょ?
銀行は貸してくれますかね?
その日の会話は、二郎の素朴な質問から始まった。
二郎さん、サラリーマンと起業家の生活で一番変わるのは何だと思いますか?
通勤のありなしと収入の安定性ですか?
そうか、中国古来のことわざ、入(い)るを量(はか)りて出(い)ずるを制す!の精神ですね。
入るを量りて出ずるを制す、とは?
「礼記・王制」には「三十年の通を以て、国用を制し、入るを量りて、以て出ずるを為す」とあります。
「三十年間の平均で、国の予算を組み立てるようにし、まず収入の方をよく押えてから支出の方を計画する」と記されているのです。
財政均衡は、古今の鉄則ですが、現実の世界ではなかなか守られていないようですね。
前職のクライアントはすべて断ち切れ!
唐突に、「前職のクライアントは、すべて断ち切れ」と言いました。
意味のわからない人が大多数だと思います。
詳しく解説していきましょう。
一般に、サラリーマンを辞めるとき、サラリーマン時代に付き合っていたクライアントからの売り上げを当てにする場合が多いようです。
これまで付き合っていた会社が応援してくれる、「仕事を出すよ!」と言ってくれている ――これはまさに甘言です。
しかし、これこそが、実は、大いなる罠、なのです。
既存のクライアントを当てにするという考え方には、私は大反対!百害あって一利なしだと思います。
その理由は簡単。
古巣の会社とか組織を、敵にまわすことになりかねないからです。
ここがとっても重要です。
私は、独立起業を目指す人からの相談に乗るとき、まずはこの部分を確認します。
「今までの取引先は、すべて捨ててください。一円たりとも奪ってはいけません!」と。
これを言われると、全員が口あんぐりです。
中には、憤然と席を立ってしまう人すらいます。
そのくらい衝撃的なのでしょう。
よく、それまでの取引先が応援してくれるというのを当てにして、起業のスタートを切る人がいます。
「初年度は○○万円くらいが見込める。〇〇さんと××さんが支援してくれる」と言っているのです。
果たしてそうでしょうか?
冷静に考えてみましょう。
もちろん、会社を辞めるとき、余計な揉め事とか軋轢(あつれき)はないに越したことはありません。
いわゆる円満退社、円満独立です。
それがもっとも素晴らしいことは、言うまでもありません。
ですがここで、独立する立場ではなく、残された人の立場で考えてみましょう。
独立する人が、いくら円満独立だと考えていても、「本来、自分たちが受け取るべき仕事が、辞めていく人に流れること」をよしとするはずがありません。
ハッキリ言って腹が立つし、気分が悪いのは当然です。
ここが、重要なポイントです。
私自身、同じ立場で同じ体験をしています。
正直、腹が立ったし、苛立ったものです。
事実、私の周囲でも、この「仕事を取った」「取られた」という関係から、それまでいた会社、クライアントの独立した当事者との間で、訴訟になったというケースもいくつかあります。
あるいは、それまで在籍していた会社の営業責任者が、そのクライアントに乗り込み、「あいつ(独立した当事者、つまりあなたかもしれません)と当社とどっちを取るんだ!」と凄んだこともあったらしいのです。
これはどうなるかというと、喧嘩両成敗、一蓮托生です。
要は、両方とも切られてしまう可能性が大です。
それって当然ですよね。
そんなトラブルを抱えた、一触即発の火種のような人に、仕事を出したりできません。
そんな勇気のある人はいないでしょう。
だからこそ、サラリーマンを辞める際には、それまでの取引先はスッパリと手放したほうがよいのです。
独立して、これから頑張ろうという、もっとも大事な時期に、そうしたトラブルに巻き込まれていては、順調なスタートなど切れるものではありません。
経済的にも、精神的にも、スタートダッシュはとても大事です。
そしてそのスタートダッシュを気持ちよく切るためには、余計なトラブル、揉め事は絶対に避けるべきです。
仮にトラブルはなかったとしても、どこかしら後ろめたさのような、負の感情を背負いながら仕事はしたくありません。
それよりも気持ちよく明日へと向かっていけること、ブレーキになりそうな要因を徹底排除した状態、晴れ渡った空のような気分で、日々、仕事に向かうこと――それが一番だと思います。
そう判断したことで、結局、新たなクライアントを生み出す覚悟も決まるし、いろいろな知恵を出すこともできるのです。
その結果、順調なスタートダッシュを切ることができるのです。
それよりも気持ちよく明日へと向かっていけること、ブレーキになりそうな要因を徹底排除した状態、晴れ渡った空のような気分で、日々、仕事に向かうこと――それが一番だと思います。
そう判断したことで、結局、新たなクライアントを生み出す覚悟も決まるし、いろいろな知恵を出すこともできるのです。
その結果、順調なスタートダッシュを切ることができるのです。
オフィスは持つな!
起業する場合、オフィスを構える人が多いです。
私にはそれがとてもおかしなことに見えてしかたがありません。
どうしてオフィスが必要なのでしょうか?
ここでその理由を考えてみましょう。
① お客様が来て打ち合わせをする
② スタッフでミーティングをする
③ 資材、機材を置いておく
こうした機能的な面に加え、
④気持ちを切り替える
などというのもあるかもしれません。
一つずつ検証していきましょう。
① お客様が来て打ち合わせをする
起業家は、クライアントを呼んではいけません。
それが私の結論です。
打ち合わせが必要なら自分から出向くべきです。
自ら出向いてクライアントに関する情報を積極的に手に入れるべきです。
出向くことでクライアントのある場所の周辺情報も手に入れることができるし、共有情報も手に入ります。
相手の様子を直接目で見て、肌で感じることができます。
相手のオフィスに出向くことで、必要な資料などもスムーズに手に入ります。
自分で体感することがとても重要なのです。
相手を呼んでいたのではそうはいきません。
そして何よりもこちらから出かけるほうが、相手にとってもラクなはずなのです。
加えて、クライアントを呼ぶとなると、余計な設備が必要になります。
大きな打ち合わせテーブル。
ホワイトボード。
複数の椅子。
他にもいろいろ必要になってきます。
つまりお金がかかる。
回収できるかどうかわからない部分、いつ使うかわからない部分に、お金を使う必要はありません。
使うとしても、もっと他に重要なものがあるはずです。
中には、あなたのオフィスに顔を出すことを息抜きと考える人もいるでしょう。
その場合はカフェにでも行ってください。
「それをNOと言う人とは付き合わない!」。
そのくらいの気概を示してください。
② スタッフでミーティングをする
これも事務所でやる必要なんてありません。
大体、ミーティングは元来、クリエイティブなもののはずです。
顔を突き合わせて行うミーティングは、何かを生み出すためのもののはずです。
そうではない手続きとか処理は、電話やメールで十分にできるはずだからです。
加えて、もう一つ大事なことがあります。
冷たい会議室のような場所では、大したアイデアも浮かばないのです。
私は、よく公園でスタッフミーティングをしていましたが、環境を変えることで、よいアイデアが生まれることが多いのです。
少なくとも、会議室よりもカフェのほうがアイデアは出やすいはずです。
有名な刑事ドラマではないですが、「事件は会議室で起きているんじゃない」と言うことなのですね。
これが、オフィスをもつなという理由の二つ目です。
③ 資材、機材を置いておく
さて、資材、機材を置いておく場所というのは、要は、倉庫・物置ですよね。
倉庫・物 置にも場所代はかかります。
ひょっとしたら当面、一円も生み出さないかもしれないものにお金をかけてはいけません。
④ 気持ちを切り替える。
確かに、会社 = オフィスに行かないと仕事モード、戦闘モードになれないという人、います。
気持ちにメリハリがつかないという人、います。
そういった人は、起業には向いていません。
起業家は、ある意味、どこでもどんな場所でも仕事ができないといけないのです。
場所を限定してはいけないのです。
だって、サラリーマンと違って、無駄なことをしても給料をもらえる存在ではないのですから。
そう考えると、やはりオフィスは不要です。
オフィスに出向かないとモードが切り替えられないのだとしたら、それは努力して変えてください。
起業家になるということは、ビジネスのスタイルを変えるということだけでなく、あなたの体質自体"を変えることでもあるのです。
起業家で生きていける体質に改善しないといけないのです。
起業家は移動オフィスに徹底したいものです。
でも、「どうしてもオフィスをもたないといけない!」とおっしゃる方もいると思います。
特に、士業の方は、自分の事務所で相談を受けるというのが一般的になっているようです。
ですが、本当にそれしかないのでしょうか?
たとえば、相談相手の元に自ら出向いてこそ見えてくるものもあるし、相手の本音も見えやすいのではないかと思います。
出張相談だけの士業、なんていうのは、結構目立つかもしれません。「それでも事務所をもちたいんだ!」という方は、シェアオフィスのような形式で、できる だけ、一円でも固定費を減らす努力をしてください。
家賃負担というのは思いの外、重たいものなのです。
② 前職のクライアントはすべて断ち切る!揉め事の芽はすべて摘み取っておく。
③ オフィスは持たない。出来るだけ仕事先に自ら出向く。
川守の話を聴き、ここでも頭を打ちのめされたものの、しかし目が醒めた二郎は、ガッツポーズをしながら停まり場へと向かう。
夏奈は今日もニコニコと二郎の話を聴いてくれている。
起業してやって行ける気がが50%くらいはしてきました。
結局、自分がこれまで持っていた常識とか執着を捨てないといけないと言う事ですね。
実際、過去の亡霊に捉われちゃって身動きできない人、多いですもんね。
思うに、もっとも大きなリスクは現在にしがみつくことだろう。悪くすると、過去にしがみついてしまうこともある。
今日の先のばしは明日の憂鬱:リン・ライブリー著:角川書店より。
「今」から抜け出そうとしない人、多いですね。
私の周辺にも沢山います。
人は変化を恐れる生き物だ、と言う言い方をされます。
確かにコンフォートゾーンと言う考え方があって、慣れ親しんだ環境から抜け出るのは実に怖い。
捨てる!と言う気持ちになってしまい、もったいなさも感じるのでしょうね。
ここであなたに質問です。
「今がベストですか?」「今よりももっと良い状態って考えられないのでしょうか?」
ね?今にしがみついていても、まだ見ぬ、新しい何かとは絶対に出会えません。
ましてや未来というのは、過去の延長線上にあるものではなく、新たなスタート台を決めることから始まるのです。
つまり、今にしがみつかず、過去と決別すると言うことは、新たなスタート台を見つける旅に出ると言うこと。
実は私達は、生まれた時から、自分に一番あったスタート台を見つけて生きて来たんです。
生きると言うのはそのスタート台と出会い続ける事だし、多くのスタート台を知っているほど、知識だけでなく経験という厚みも手に入ります。
あなたのスタート台はどこですか?
考えてみて下さい。
常識とか執着をいかに捨てきるか!と言うのが実は勝負だったりするんですね。
そう語る二郎を見つめる夏奈。
この日も早じまいした夏奈と二郎は夏奈おすすめの店「レタスしゃぶしゃぶの吟(ぎん)」で、おいしい鍋と銀だらの西京焼き、そして九州の焼酎に舌鼓を打つのだった。
【第四章】PerfectPreperation:完璧な準備。(70%の希望)
二郎は、兵庫の銘酒“龍力(たつりき)”を呑んでいる。
〈夏奈による龍力の紹介〉
もちろんバーインディペのカウンターだ。
前回、マスターに頭をガンと打ちのめされ、目が覚めた二郎。
そうだよな~?
一円も稼げてないのに金を使ったり借りたりっておかしいよね?
入るを量って出ずるを制す!がいかに大事か、良く分かりました。
川守は「よしよし」と言う表情で聴いている。
そう、起業してもやっていける気が70%くらいしてきましたよ。
マスター、次はどうしたら良いですか?
今日は長くなりますよ〜
自分の真の価値 = 戦う武器、を見つけよう。
CV(コアバリュー)を見つけよう。
ここで、とてもとても大切なことをお話しします。
起業を考える (選ぶ)際に、これ以上重要な考え方はないので絶対に身につけてください。
今後、いろんな局面で絶対に役立つ考え方です。
さて、私たちのビジネスは、3つの条件の中で戦っています。
その条件とは、
① 自分が提供できる商品・サービス
② ライバルが提供できる商品・サービス
③ お客さんが欲しがっている商品・サービス
この3つの条件のせめぎ合いの中でビジネスは行われます。
そしてすでにお分かりだと思いますが、これらを総合して考えると、あなたが目指すべきものはひとつだけのはずです。
すなわち、
①あなたが提供できる商品・サービスで
②ライバルが提供できない商品・サービスで
なおかつ、
③お客さんが欲しがっている商品・サービス
だということです。
少しまとめて言うと、『お客さんが望んでいて、あなたしか提供できない商品・サービス』ということになります。
いくらあなたが自信を持っていても、ライバルも提供できるものであれば、それはなかなか選んでもらえないし、無理に選ばれようと力めば、結局は価格競争。
決していいことはありません。
また、ライバルが持っていないあなたの強みがあったとしても、お客さんが欲していなければ、これまた選んでもらうことは無理です。
過去にもこうした勘違いで葬られていった商品・サービスは山ほどあります。
ですから起業を考える場合も、常にこの言葉を意識し、言葉にしながら考えてほしいのです。
自分がやっている(やろうとしている)ビジネスは、『お客さんが望んでいて、あなたしか提供でき ない商品・サービス』になっているだろうか?と。
もちろん、スタート時点では、『お客さんが望んでいて、あなたしか提供できない商品・サービス』であることは多いです。
それだけ一生懸命考え、選びますからね。
ですが、世の中は動き、経済は変動し、お客さんの心は変化します。
ひとつの価値がずっと同じレベルを保ち続けることはあり得ないのです。
例えば、ダイエット法などはまさにその典型ですが、いくら革新的なメソッドでも、新たなメソッドが登場すれば必ず比較されますし、結果、他のメソッドにお客さんを取られることはしょっちゅうです。
常に日進月歩、新しさの自転車操業です。
カメラが、いわゆるフィルムカメラだった時代、フィルム込みで技術・性能を競っていた時代があり、その後はデジカメの時代。
すごいのが出たなーと思っていたら、もはやスマホで十分、デジカメなんて触らない人が増え、そのスマホも技術革新を経て、結局、GoProとかOsmoActionに一部市場を取られる始末。
一体何がライバルだかまったくわからない時代なのです。
ですから今の時点で、『お客さんが望んでいて、あなたしか提供できない商品・サービス』であっても、気づいてみたらまったく違う、考えてもいなかったライバルに侵食されていた!!ということもしょっちゅう起こります。
そう考えると、いかに、『お客さんが望んでいて、あなたしか提供できない商品・サービス』を維持するか?
自分のビジネスをチェックし続けるか? ということが大事になります。
油断大敵!!気を抜いたらおしまいなのです。
そのための一番簡単なチェック方法をお教えしましょう。
ライバル (と思しき相手)のホームページは検索できますよね?
相手の社名を入力してEnterキーを叩けば出てきます。
そしてその出てきたホームページをじっくりと読むんです。
メインになる訴求ポイント、キャッチコピー、価格、特徴。
そういった項目を常に頭に入れ、ライバルとの違いを意識してください。
もう一度言います。
価値は常に変動します。
つい先日までの一番は、数日後に価値がゼロになっているかもしれません。
そうなってから慌てても間に合わないんです。
リアル裸の王様になってしまいます。
そしていったん落ちてしまった価値は、よほどのことがない限り復活はしません。
仮に戻ることがあったとしても、とてつもない労力を要するのです。
『お客さんが望んでいて、あなたしか提供できない商品・サービス』 これ、いつも心得ておいてください。
肩書きで勝負せよ!
肩書きで勝負???
えっ? それを見つけるのが難しいんですよって?
大丈夫です。
それを見つけるための方法をこれから紹介します。
「肩書」をつけるだけでビジネスの価値は一気に上がります。
人って、人を「肩書で評価する」って言いません?そうなんですよ、肩書の威力、強烈です。
で、その肩書、実は起業する場合に威力を発揮するんです。
何かを手に入れようとする場合、やはり「信頼できる人」を相手に選びます。
あなたが誰かにダイエットを指導してほしい場合、何の肩書もない、単に「トレーナー」とだけ書かれている 人と、「ダイエット専門トレーナー:1万人をダイエット成功に導いてきたハイパーフィットネスコーチ」 と書かれている人ではどちらを選ぶでしょうか?
どちらに信頼を置くでしょうか?
もちろん後者ですよね。
それは肩書のせいなんです。
まだ指導も受けていない、相手の実力も知らない時点からすでに肩書きに影響されているわけです。
もちろん、その肩書が単なるブラフ(はったり)だったらそれはダメです。
詐欺です。
が、 ある程度のチカラが伴っていれば、その肩書は本物になっていくんです。
では、その本物ってなんでしょうか?
信頼を勝ち取るためのキーワードは一体なんでしょうか?
答えは......○○専門家です。
同意語でエキスパートとかスペシャリストとか、そのあたりの言葉です。
また、専門家を表す言葉が使われていなくとも、専門家であることを伝えることはできますよね?
指導者とか、コーチとか、この道一筋とか......(笑)。
例えば、「腰痛治療の道一筋13年」と言われれば専門家という言葉を使わなくても「専門家」に見えます。
この「見えてしまう」というのが実に大事なんですよ。
起業してすぐだからといって、専門性が見えなければ人は信用しません。
お客さんにとっては、そこは関係ありません。
信頼さえできればフリーターにでも命を預ける。
ドラマ、『ドクターX』 の大門未知子がそうですよね?
手術の技量さえ認めれば自分の命さえ託すわけです。
ですから、どんな仕事であろうと、必ず肩書をつけてください。
時々、肩書なんて恥ずかしいと言う人もいますが、それはダメです。
私自身、独立起業をした当時、名刺に肩書を載せたものとそうでないものとでテストをしてみたことがあります。
キチンとデータも取りました。
結果はご想像の通り、肩書ありのほうが仕事につながる率が2・2倍もありました。
誤解を恐れずに言い切れば、人は肩書に翻弄されるんです。
あなた自身のことを思い返してほしいんですが、肩書があると信用してしまうはずです。
ですから必ず肩書はつけるべきなのです。
難しいことは言いません。
あなたの仕事自体、扱っている商品自体に「○○の専門家」 とつけるだけでいいのです。
パソコン入力の専門家、伝票入力の専門家、ミカン販売の専門家、腰痛治療の専門家、がん保険販売の専門家、続け方の専門家、クレーム電話対応の専門家......
こんな具合に専門家という言葉を付与するだけであなたの価値は一気に上がります。
そう、肩書というのは、あなたの「ビジネス価値」を上げるための魔法の言葉なんです。
肩書は「専門家」という言葉に限りません。
私の知り合いの例で言えば、ある保険の販売員は、「オーダーメイドライフプラン設計士」 という肩書で、クライアントから大きな信頼と安心を得ていますし、通販システムのビジネスコンサルタント・西村公児さんは、「通販コンサルタント&プロデューサー」と名乗り「ブロデューサー」というワードが専門性を示しています。
それから、これまた友人である、アトラク東北の後藤さんは、「ヒキダス・マーケター」という肩書を使い、「いろんな強みや特色をヒキダス人」というポジションを維持しています。
このように、ちょっとした言葉の使い方で、あなたの存在感、信頼感、価値は大きく変化するのです。
工夫はいくらしても、しすぎることはないのです。
遠慮はいりません。
堂々と肩書をつけてライバルを引き離しましょう。
戦わないビジネスを作りましょう。
何度も言いますが、あなたにも必ず何らかの専門性とか特殊性があります。
かりに同じことをやっても、違う人間がやっているのですから、必ず「誰々流」というのがあるんです。
その違いこそが価値であり、専門性です。
そしてその専門性こそを欲しがっている人が 必ずいる。
そこを信じてほしいのです。
肩書の重要性。
おわかりいただけたでしょうか?
ビジネスを始めるに当たって「ペルソナ」って言うのがあるらしいですよね?
読んだ本に書いてあったんですけど・・・。
とても大事な考え方で、ここを間違うと失敗しちゃうらしくて・・・。
僕もそこにこだわろうと思うんです。
僕のペルソナは・・・・・・・・
ペルソナは忘れてください。
今、ターゲットの決め方をお教えしますから・・
マスターは、唐突に電話をかけ、30分ほどで二郎と同じ年くらいのスーツの客が入ってくる。
紹介された客は、大手の通信メーカーに勤める吉田。
二人は話に花が咲き、二郎の語る社長話に吉田は異常な興味を示す。
吉田が去って行くと、川守は、
吉田さんみたいな実在する人をターゲットにするんです。
あの人が喜ぶ商品をつくれば売れるし、悩んだら彼に何が欲しいか?訊けばいい。
ターゲットは実在する人にしましょう。
ペルソナみたいな架空の話は失敗の原因です。
二郎さんも何人かの人に会って、その人たちをミックスしてターゲットを想定してください。
ペルソナは要らない!
① ターゲットの決め方
そもそも、ターゲットとは何でしょうか?
30秒ほど、考えてみてください。
ハイ!30秒経ちました。
何となく、浮かびましたか?
あなたも、考えてくれたと思いますが、私は、ターゲットをこう定義しています。
あなたしかできない(あなたができる)○○(←能力)を心から求めている人。
つまり、あなたが持っている能力を、最大限に発揮できるのは、今、どんな状態にある人か?ということですね。
② ターゲットを決めるときに、絶対やってはいけないこと
あなたは誰に、あなたの持つ価値を届けたいですか?
誰に喜んで欲しいですか?
まずはそこを考えて欲しいんです。
もし、クッキリと決まっていなければ、イメージできていなければ......。
あなたの価値が相手に届く確率はとても低くなってしまいます。
さて、では誰に向けて語れば良いのでしょうか?
言い換えれば、語りかける相手こそが、ターゲットということになります。
"ターゲット"を考えるとき、誰もが犯す間違いが、属性、をイメージすることです。
男女別、年齢別、職業別、職種別、業種別、持ち家のありなし、年収・年商、家族構成、家族人数、居住地域など、数え上げるときりがありません。
その属性、をイメージした瞬間、失敗です。
属性なんて、すぐに忘れてください。
例えば、30代独身OL、丸ノ内に勤めていて、年収が600万円などという個人はどこにもいません。
属性で考えるということは相手を塊(かたまり)で見るということ。
でも、人は、生活者は、一人一人全部違います。
求めているものが全員違うんです。
ではターゲットとは何か?
ターゲットというのは、悩み"とか問題、など、解決したい事柄のことです。
こうしたい!こうなりたい。
その「願いそのもの」、が実は、ターゲット!!なんです。
“エステに通って痩せたいと思っている、30代後半のキャリアOL”ではなく、エステに通うことで、お気に入りの洋服をもう1度着たい!どんどん人前に出て、素敵な結婚相手を見つけたい。
そう考えている女性!
そう考えれば、ターゲットというのが属性ではなく、悩みだという意味がおわかりいただけると思います。
年齢に関係なく存在するわけですね。
仮にあなたが、収納アドバイザーで起業する場合、その収納のノウハウを、最も効果的に発揮できる相手は誰だ?という視点で考えるんです。
・整理整頓が苦手で、いつも物を失くしたり、探すことに手間取っているOL。
というのもあり得ますし、
・子どものおもちゃなどが毎日散らかっていて、片づけに困っているママ。
という説もあるでしょう。
・部下が整理整頓下手で、仕事の効率が悪くなっていると嘆いている事務機器販売会社の営業部長さん。
かもしれないし、
・パソコンの中のデータが、なかなか整理できず、いつも必要なデータを探すことに手間取っている男性会社員。
かもしれません。
こう考えると、ターゲットというのは、まさに、無限に存在するし、ターゲットを決めるのも大変に思えてくるかもしれません。
ですが大丈夫。
それには私が開発した、ターゲット選定ステップを使います。
これに当てはめて考えれば、簡単にあなたのターゲットが見つかります。
もう1度言います。
ターゲットとは、問題意識そのもの、です。
どんな悩みを持っている人に向けて伝えるのか?何に関して悩んでいる人に向けて伝えるのか?
まずはそこをハッキリとイメージしましょう。
すべてはそこからスタートするのです。
③ 実在の人物をターゲットにしてしまおう!
起業は、相思相愛の相手に、価値を提供する生き方です。
そう、常に視野に入れておいて欲しいのは、特定の個人。
あなたの持つ能力とか、あなたが提供できる価値を、最も喜んでくれる人です。
それがターゲットということになります。
だとしたら。
だとしたら....ですよ。
ある、実在の人をターゲットにしてしまうのが、一番わかりやすくないですか?
頭の中で、あ〜だこ〜だとこねくり回すのではなく、わかりやすく、“この人”、と決める方法です。
その人に出会えば良いんです。
ここで私が、起業を目指す人にアドヴァイスする際に行っている、
「ターゲット選定の方法」をお教えしましょう。
【STEP1】名刺、あるいはアドレス帳を開く。
【STEP2】その中で、顔を憶えている人を選ぶ。
【STEP3】その中から、どんな仕事をしている人か?思い出せる人を選び出す。
【STEP4】この人は好き!と思える人を選ぶ。
【STEP5】好きな人たちに「こんな仕事を始めるんだけど...」という案内状を送る。
【STEP6】意見を聞かせてと言って、会いに行く。
【STEP7】会った人の中から、あなたが、ターゲットとしてイメージする相手を決める。
よく、コピーライティングのメソッドなどで、ペルソナの法則などというターゲット選定の手法が語られています。
要は、自分の頭の中で、仮のターゲットを決め、その人の条件を肉づけしていく手法ですね。
この手法、一見、使い勝手の良い手法のように感じますが、実は慣れない人が使いこなすのはかなり大変です。
結局、高度な知識が無ければ成立しない手法です。
ですが私が先ほどお話しした方法は、真逆です。
まずは自分の知り合いの中で、
・顔を憶えていて、
・何をやっている人か?がわかっていて、
・好きな人を選ぶ。
そしてその相手に会いに行き、『自分がこれからやって行こうとしている仕事内容』を語る。
その語った内容に対し、一番興味を持ってくれた人を、ターゲットに選定するんです。
もし、その相手が、お金を支払ってでも、手を貸して欲しい!と言ってくれるようなら、そこでクライアントお一人ゲット!となります。
これ、嬉しいですよね?
後ほど詳しくお話ししますが、起業する際に、
それまで名刺を交換したすべての人に、挨拶状を送ったり、案内を出したりしますよね?
ですがそのほとんどは、 顔も思い出せず、何をやっている人かもわからず、好きでもなんでもない人、だったりします。
だからいくら挨拶状や案内を送っても、反応が無く、ガックリと落ち込んでしまうんです。
送っても意味のない人に送るから、反応が低くて当然なのにです。
ですから、まずはしっかりと話を聞いてくれる相手とだけ会うことが大事です。
私のターゲット選定法。
理解していただけたでしょうか?
さて、このターゲット選定法には大きな “余録"がついてきます。
それは...... 『困ったときにその人に聞けば良い』 という余録です。
ペルソナなど、自分の頭で考える方法だと、結局、困ったり悩んだときにも、自分で考えないといけないということになります。
ですが、この方法ですと、実際に存在するリアルな一人がターゲットなわけです。
ですから、困ったり、悩んだり、迷ったりしたときには、その本人に聞けば解決です。
何かの商品とかサービスを考えたときも、その本人に評価してもらえば良い。
これ、簡単で確実です。
この方法は、こんな大きなメリットも運んで来てくれるんですね。
ターゲットの決め方にも色々あるけど、要は自分のビジネスに合ったやり方をしないと、そっちばかりに目が言って大切な本質を見失ってしまうと言う事なんですね。
川守さん流のターゲティング法。
ビックリでした。
これまで聞いたことも見たことも無かったけど、実に理に適っていてすごかったですね。
まさに目から鱗の世界でした。
ターゲットを決めるのってとても大切ですけど、やっぱり自分独自の方法を知って、自分流にアレンジすることですね。
誰かの猿真似ではなかなかうまくは行かないってことですね。
ターゲットの決め方外伝。
トム・モナハンが当初ドミノピザの店を開いていったのは、どういう場所かご存じだろうか。大学のある町の、大学のすぐ近くだ。理由は簡単。大学生ほどいつもピザばかり食べている人種は他にいないだろう。
究極のマーケティングプラン:シンプルだけど、一生役に立つ!お客様をトリコにするためのバイブル
東洋経済新報社:ダン・ケネディ (著)より。
ターゲットと言う言葉はそこら中で耳にします。
ですがターゲットって何?と尋ねると意外とみんな答えられない。
答えられてもそれぞれがまったく違う答えを出してくる。
こういったマーケティング用語って実に難しく、魑魅魍魎です。
その魑魅魍魎に実に明快に解答を出してくるのがこのエピソード。
食べ物を売るなら、その食べ物を食べる人が沢山いる場所に店を出せば良い。
その当たり前の事が意外と出来ないんです。
あ〜でもない、こ~でもない!と理屈をこねくり回し、結局、曖昧な、甘い判断になっていく。
それではダメなんです。
求めている人がいる場所 = マーケットにこちらから近寄っていく発想が求められるんですね。
さて、今日も店じまいして景気をつけに行きましょう!さ、支度支度!
【アナザーストーリー①】川守裕充の物語。
川守です。
元々は元大手コンサルティング会社に在籍していました。
自分で言うのも恥ずかしいですが、いわゆる「敏腕コンサルタント」だったとお思います。
20人もの部下を抱え、売り上げも最高を誇るチームを率いていました。
次期、副社長候補とまで言われていました。
ですが、ある時、クライアントの効率化よりも自社の売り上げを取った役員に歯向かい、辞表を叩きつけてしまいました。
で、実はずっとやりたかった「日本で生まれた酒を扱うバー」を始めたんです。
過去の人脈を頼りに細々とやっていけば、家族くらいは養えるだろうと思ったんですね。
ある日、突然前職の後輩たちがやってきました。
小さな会社で悩みを抱えているクライアントがあるんだが、上司が取引を許可してくれない。
売り上げが小さいから手を出してはいけないと言うらしいんです。
で、後輩たちは、自分たちがバックアップするからそのクライアントをコンサルしてくれないか?と言う訳です。
もちろん断りましたよ。
だってもう、足を洗った人間ですから。
でも、後輩も粘ります。
挙句の果てにこっそりお忍びでクライアントの担当者を店に連れてくる始末。
内堀外堀がんじがらめで逃げられなくなっちゃいました。
結局、半年契約、土日だけの稼働と言う条件でお受けする事にしました。
以降、時々その後輩に頼まれたり、手掛けたクライアントの紹介で、コンサルの仕事をやっています。
実はその売り上げがあるから、この店は赤字同然でもやって行けているんです。
ある時、クライアントの社員の一人が会社を辞めて独立すると言うんです。
で、これまた無理やりにコンサルと言うかブランディングを頼まれました。
ま、これは企業に対してやっていたことを個人向けにカスタマイズするだけなので正直、簡単です。
価格もタダ同然でやって差し上げるので、評判は良いです。
その分、交換条件として店に来て呑んでくれればいいよって・・・・。(笑)
そうした個人のクライアントが結構いて、この店も何とかもっています。
そろそろ黒字にしないといけないので、踏ん張りどころです。
そうそう、先日二郎さんに会ってもらった吉田さんもそんな中の一人です。
彼ももうすぐ会社を辞めて起業するらしいです。
二郎さんと良い仲間になってくれると嬉しいですね。
夏奈さんとは、後輩が企画して私が登壇したセミナーでお会いしました。
同じ日に講師をやった人と気が合って呑みに行くことになり、連れていかれたのが夏奈さんの店だったんです。
不思議な人ですよね?彼女。
何だか謎な部分が多くてミステリアス。
でも、とても面倒見が良くて顔も広い。
二郎さんとはどんな関係なのか?知りませんが次回、訊いてみようかな?(笑)
二郎さん?
もちろんモノになると思いますよ。
本人も少しづつ自信が出て来たようで嬉しいです。
どうせアドバイスをするなら大きく育って欲しいですからね。
私もさっき言ったみたいに、いつまでも二足のわらじは履けません。
そろそろこの店一本に絞って力を注ごうと思っています。
ですが、今のクライアントとかこれからどうしてもと言われる依頼を断るわけにはいかないと思っています。
そのためには後輩を育てる事です。
私の代わりにコンサルをやってくれる後輩が複数育ったらそろそろ潮時かな?と思っています。
二郎さんが最後の個人クライアントになると考えています。
彼なら立派にやり遂げてくれるでしょうし、私も持っているモノ、総てを差し上げようと思っています。
引退してからは日本中にある酒蔵を巡りたいですね。
日本酒に限らず日本には素晴らしいお酒が沢山あります。
そうした隠れた蔵やお酒を紹介して行く仕事が出来たら良いですね。
もちろんこの店の仕事の一環として。
そのために「日本酒バー」ではなく「日本の酒バー」とネーミングしたんですから。
さて、今日も二郎さん、やってくるんでしょうね。
彼も一生懸命だから僕も手を抜けません。
頑張ります。